原です。
マーケティング調査でのモニター顧客は、調査対象に関連する商品やサービスについてある程度の情報や経験があります。
おかげさまで、顧客の声を聞くことで、さまざまな価値ある情報を得ることができます。
しかし、目的の達成、その後の戦略・戦術立案に活かそうとするときは、顧客の声を聞きすぎることに、注意しなければなりません。
特にマニアックな人の声を聞きすぎることは危険です。(ただし、マニアックな人がターゲットの場合は例外です。)
マニアックな人は、インタビューで話を聞いていくと、どんどん要望が高度になることがあります。
例えば、調味料開発に関するグループインタビューのケースです。
グループインタビュー参加者の中には、「料理人の家庭で育ち料理もできるし、多種類な調味料のことには詳しい」人がいました。
グループインタビューでは、自宅に保管している調味料の話をはじめました。
調査対象の商品に対する要望も高度かつ厳しい意見を述べます。もちろん、高度な意見や厳しい意見はとても貴重です。しかし、「その商品に詳しい人の意見だから」と安易に意見を取り入れても、売れる商品になるとは限りません。
そういうことから、筆者は、このマニアックな参加者さんに次のような質問しました。この商品を「ほしいですか。買いたいですか。」そうすると、「ほしくない。買いたくない。」と回答されました。理由を聞くと「自宅にある調味料を組み合わせれば、自分でも作れる。調味料を自分で作ることにこだわりがある。」と言われました。要するに、この時のマニアックな参加者さんは、要望は言うけれど買わずに自分で作るのです。結局、要望を聞いて開発しても、その商品を買ってくれないのです。
それに、他のインタビュー参加者さんからは、そこまで高度でなくても良いという意見が多かったです。
このように、詳しい人の声を聞きすぎると、商品がどんどん複雑化・高度化していきます。その結果、売れない商品になることがあります。
戦略立案にあたって顧客の声をどこまで活かすかは、調査側の判断力や戦略的な思考力が必要です。