安藤です。
世界調査や人材コンサルティングを手掛ける米ギャラップが世界各国の企業を対象に実施した従業員のエンゲージメント(仕事への熱意度)調査によると、日本は「熱意あふれる社員」の割合が6%しかないことがわかりました。調査した139か国中132か国中と最下位クラスでした。また、企業内に諸問題を生む「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合は24%、「やる気のない社員」は70%に達しました。(2017年5月26日)
問題なのは「不満をまき散らしている無気力な社員」の割合が24%と高く、周りに悪影響を及ぼしているということです。
そして、事故や製品の結果、顧客の喪失、職場風土の問題など会社にとって問題が起きる場合、多くはそういう人が関与している可能性が高いとういことです。
ギャラップは、下記の9つの項目に対して「仕事にやる気がある会社員」「仕事への意欲が低い会社員」で何が違うのかを調査しました。
・顧客評価(customer ratings)・利益性(profitability)・生産性(productivity)・離職率(turnover)
・安全に関する事故(safety incidents)・減損(盗品)(shrinkage<theft>)・欠勤(absenteeism)
・医療安全に関する事故(patient safety incidents)・製品・サービスの質(quality)
そして、調査で得られた「やる気度係数」によって、上位4分の1(やる気の高い会社員)と下位4分の1(やる気の低い会社員)を比較した際の、各9項目における差というものを報告しています。
それによると、9項目で明らかに優劣の差がみられました。
たとえばやる気の高い会社員は、やる気の低い会社員と比較したときに、顧客評価を約10%、利益性を22%、生産性を21%引き上げ、離職率、欠勤、安全に関する事故の減少、不良品といった項目に関しても大きく差が出たとのことです。
「やる気度」を高める施策は企業にとっても死活問題だと考えます。
ギャラップでは次の5つを提言しています。
(「The Worldwide Employee Engagement Crisis, A.Mann & J. Harter, GALLUP, January 7,2016」より)。
1.「やる気」対策を会社の人事戦略に組み込む
2.「やる気」を科学的に評価できる方法で測定する
3.会社が現在どこにいて、将来どこに向かおうかということを理解する
4.「やる気」をひとつの構成概念として見る
5.「やる気」をほかの業務優先と整合させる
“やる気” は目には見えませんが、リーダーのモチベーション力、個人のモチベーション力が「やる気の出る社風」をつくっています。社員の本音を漏れなく聴くことで “見える化” し「やる気度」を高める施策につなげ “エンゲージメント”を高めることが、これからの組織に必要なことだと考えます。