マーケット

2007年6月15日 金曜日

早嶋です。

マーケティングのセミナーを行っている中で、マーケットの定義について多くの経営者から質問を頂きます。本日は、マーケットについてコメントしますね。

例えば、とある2人の顧客がいたとします。その2人は全く同じ動機から全く同じ製品を購入したとします。しかし、この2人は互いに連絡を取り合う環境にありません。この場合、この2人は同一のマーケットの顧客としては考えない方がよいのです。

具体的な例を示しましょう。長崎とソウルにいる歯医者さんが、それぞれ同じ目的で歯科用のCTスキャンを購入したとします。そして、この2人の歯医者さんは互いに連絡を取り合う関係になかったとします。となれば、2人の歯医者さんはそれぞれ個別のマーケットの構成要員となります。

また、もしあなたが福岡に住む歯医者さんに歯科用のCTスキャンを売り、次に、その隣に住むCTスキャン関連のエンジニアに歯科用のCTスキャンを販売したとしたら、この2人もやはり異なるマーケットの構成要員となります。

上記の2つの事例で、それぞれが個別のマーケットであると言う理由は、2人の顧客が互いに連絡を取り合う環境にないからです。これに関して若干の疑問を抱く方もいると思います。

製品自体に着目してマーケットと捉えるならば、この場合のマーケットは過去に歯科用のCTスキャンを購入した顧客と、将来的に購入するであろう顧客全ての合計になります。マーケットという言葉自体を上記のように使う事ももちろんあります。ファイナンシャル・アナリストのような職業の方は、マーケットを上記のように捉えるでしょう。

しかし、歯科用のCTスキャンの例では、全く質の異なる2つの対象(長崎とソウルという地理的環境、医師への販売とエンジニアへの販売)を一緒にすることになります。これは、気をつけないと数字を見落としたりする危険性があるのです。

もしマーケットをファイナンシャル・アナリストのように捉えると、その後の消費者の行動が予測出来ません。当然、消費者の姿も見えません。これでは、マーケティングを行う際の対象を見付けることが出来なくなるのです。

これを回避するために、マーケターは、マーケットを詳細に分けてセグメント化する作業を行います。そして、このセグメント化したマーケットのことをマーケットと捉えた方が消費者の今後の行動を予測しやすいのです。当然、消費者の横顔もみえてきます。

セグメンテーションを強く推奨する理由は、互いに情報交換をしない層に対してマーケティングを進めても効果が少ないからです。もちろん、経営資本が潤沢にあれば問題ないのですが、そのような余裕は大企業でもありません。いかなるマーケティング活動でおいても、マーケティングにおける連鎖、つまり口コミを無視できないのです。

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