30年ビジョンと教育のあり方

2017年6月23日 金曜日

早嶋です。

地方が抱える問題は、人口減少です。人口が10,000人の地区があれば場合、凡そ1%の出生があり、1%の死亡があります。100人生まれ、100人なくなります。地方における人口の増減は、これに加えて転出転入があります。ここも凡そ3%程度の人が動きます。300人が入ってきて、300人が出ていきます。

人口が増えている時は、当然ですが出生よりも死亡が少ないです。一方、流出と流入の割合は実際は昔から若干ですが出ていく人が多かったです。現在は、出生が減少して死亡も増え、人口減少が急激に進んでいます。従って地域の高齢化が加速しています。でも実際の問題は、流入はこれまで通りあったか、減少しているかでしょうが流出が増加していることも注目に値します。特に18歳以上の人口が都市部に流れて行くのです。

地方が存続するためには、当然ながら一定以上の人口を確保することになります。そこで自治体が取る政策は、出生に対しては子育て支援。死亡に対しては福祉や医療サービスの充実。流入に対しては企業誘致や学校誘致。流出に対しては地元の活性化です。

が、この取組を進めるとますます、人口の流出は加速します。というのも流入流出は経済活動に起因するものが多く、例えば仕事の都合での転勤です。この場合は、単身赴任の可能性もありますが、家族での異動が主になります。ある程度お子さんが大きくなれば、学校の生活があるので単身ですが、若いお子さんの世帯は家族皆でという構図です。入る活動があれば出る活動があるので、ある程度の母数、つまり人口があれば均衡するというのがこれまでの流れでした。

が、実際は流出が多いです。その内訳は、高校進学、大学進学、そして就職です。この把握は各自治体は認知しています。そこで地元に工場誘致、企業誘致に躍起になります。が、企業は戦略の一手の中で流通戦略をとりますので、企業が来てといってその地域で支店や工場を増やすものではありません。誘致をする場合は、自治体の強みを把握した上で、その強みを活かせる企業を一本釣りするしかありません。もし、そのようなことが出来るのであれば、そのような企業が欲する人材も合わせて提供できれば更に確率は高くなります。

企業は、常に人手不足なので、自治体からそのような人材が確保できるのであれば嬉しいです。が、教育部隊はそのようなことは考えません。とにかく優秀な人間を育てるということで、30年前から変わらない偏差値教育を最高と崇めています。結果、優秀とされる、ここでは偏差値が高い人間は常に中央にある大学に流れる仕組みができあがっています。

そして、中央の偏差値の高い大学の出口は大手企業での就職です。海外の大学で優秀とされる人材の一部は、大手企業での仕事は人が決めたレールの上を歩くということで嫌気をさすそうです。従って、職業としての起業や、ベンチャーの就職を好んでいます。

ただ日本人のマジョリティは、いい大学、良い企業が子育てのゴールで、地元での起業、地元経済の活性化、地元から世界に価値を創出するという姿をゴールにしていません。ということで、地方都市が教育を変え、地元のビジョンを30年単位で見ない限り、今の減少にメスをいれることは出来ないでしょう。むしろ、今の取組は若い人材を意図的に流出する流れになっているのです。



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