海外進出での不整合な戦略

2016年2月18日 木曜日

早嶋です。

多くの日本企業はグローバル企業と違った戦略を取ってきています。それは、明確に自社のポジションを定義せずに優れた人材と他社が模倣出来ない技術を駆使して自社の強みを磨く安定した経営です。

この経営手法は日本が未だ経済成長を遂げていた時代の名残があると思います。複数の企業が同じ業界に集い、ある程度それぞれの企業が差別化しながら、それなりに激しく競争をするのです。前提が差別化する競争であり、そのため差別化する技術、それを提供する人材に磨きをかけてきました。

しかし経済の成長に陰りが出始めることで一変します。国内の経済低迷の中、そこそこの企業規模がある会社は市場を海外に求めざるを得なくなります。国内だけのパイでは自社の社員を食べさせることが難しくなったからです。

方向性としては間違いないのですが、国内と同じような戦い方で挑みました。ある程度製品ラインナップを揃え、全方位的に攻め、それぞれのセグメントで差別化を試みようとするのです。

しかし海外、特に中国やインドや東南アジアなどの新興国では、消費者のボリュームゾーンを拡大する企業が台頭してきます。彼らの戦略は普及品をボリュームゾーンで売ってシェアを取りに行くことです。販売シェアを高め小売に対して交渉力を高め更に沢山販売する。徹底的に消費者のブランド認知を確保していく。

日本以外の市場では、比較的良い商品を安価に提供するか、徹底的に差別化した商品を一部に対して高く売っていくかのポジションを明確にした企業が成功を納めていました。それに気がつかないでポジションが不明確なまま、差別化とコストの両方を追求する。しかも全方位に攻め込む日本企業は常に競り合いに負けてしまいます。

日本での成功体験をそのまま海外に持込み、日本でのネームバリューが海外でも同等に使えると勘違いするかの如くの戦略。何年たっても一向に販売量を伸ばすことが出来ません。それにもめげず差別化とコストを追求する戦いを全方位に広げているのです。

日本での戦い方が通じない場合は、自社のポジションを明らかにして、自社の立ち位置を明確に受け入れて、日本とは違った戦い方をしなければならない。中々気が付かずに現場ではいつもコストで負けているといい、技術部隊は更に差別化をしなければ売れないと悪循環が続きます。

その土壌での戦略がマッチしていないのです。



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