ラグジュアリーという方向性

2015年8月28日 金曜日

質より量から量より質の時代になっているが、未だに多くの日本企業は、以下のやり取りを当たり前のように行う。

「お客様にプレゼンをしたが、やはり価格で受け入れませんでした。そこで戦略的な価格設定を検討する必要があるかと。」と。

かっこいい言い方ですが、要は高いって言われているよ、オーバースペックだよ、だったら安売りしましょう。という妥協です。製造業や小売などありとあらゆるところで聞かれる話です。ターゲッティングの話なのか、戦略そのもののあり方なのか。とにかく言えることは、流れが変わっているのに、やり方を変えていないことです。

確かに日本の市場は飽和しています。商品も何もかもが溢れています。常に何かと比較されながらの購入になり、絶対的な価値など存在しないかのようです。しかし、世の中には絶対的な価値を提供している商品やブランドがあります。いわゆるラグジュアリーなブランドです。しかし、自分たちは所詮製造業なのでそのようなことはできない。あのブランドは特別だから自分たちにはできないと言って、はじめから無視しています。選択肢から除外しているのです。

日本のものづくりの歴史はQCDを徹底しました。そこから日本式の徹底した品質管理が生まれ、原価企画が生まれました。いわゆるトヨタの発明でトヨタ生産方式とされ多くの企業が模倣します。

新しい商品が上市されると、次の新製品ができるまで大量生産して、質とコストと納期を徹底的にカイゼンします。一昔のように商品のライフサイクルが長かった頃は良かったのですが、今のように極端に短くなると得意のカイゼンがされないままに、次の商品が出てきてしまいます。

次第にどのように作るかという話が、何を作るかという話にフォーカスされ、ゲームのルールが変化していきました。ルールが変わったら方法を変えるのが定石。としたら方向性は次のようになります。

1)短くなったライフサイクルに対応する
①徹底的に、新製品を根性で出し続けて多忙を続ける作戦。これは前述したような企業がまさにハマっている打ちてです。

②売れないなりに売れ筋を見出して売り切る作戦。これは常にABC分析などを繰り返し、適切に現場の声を開発側にフィードバックすることが大切です。

③確実にヒット商品を生み出す作戦。新商品の開発マネジメントを強化することですが、これができたら苦労しないですよね。

とすると2つ目の大きな方向性として、2)ライフサイクルを伸ばす、というのがあります。

④100人の顧客に1回買ってもらうのではなく、1人の顧客に100回買ってもらう作戦です。これを実現するためには関係性をマネジメントする、つまり、CRMを強化します。

⑤他社に模倣されない技術を駆使する。徹底的に技術フォーカスするため、研究開発に更に力を入れます。

⑥上記と方向性は似ていますが、技術などを特許で徹底的にマネジメントすることです。

⑦あるいはすでに露出している製品やサービスの感情的な価値を再発見、あるいは再創出して価値を高める作戦です。デザインをマネジメントします。

⑧似ている考え方ですが、その商品にまつわるすべてにおいてブランドイメージを高める作戦もあります。

というようにルール変更の打ち手としては、確実にヒットする商品のマネジメント、デザインのマネジメント、そしてブランドイメージのマネジメントに対しては多くの企業で行われていません。つまりオプションとしてあるのに他の企業が選択していない方向性なのです。

ということで、ラグジュアリーに方向転換というオプションは可能性を秘めていると思います。



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