早嶋です。
自社の商品(製品・サービス)を他の競合商品と比較した時のどのように位置づけを行うか、明らかにすることをポジショニングといいます。ポジショニングが上手く出来ていれば、それだけ、競争が少なくなるだけでなく、ターゲットとした顧客に対しても明確に自社の商品を提供することが出来ます。
最近のハーバード・ビジネス・レビュー(HBR)の中に、シャドー・ブランド戦略というタイトルの記事がありました。中身はポジショニングをしなおすこと(リポジショニング)についてです。
P&Gのアイボリーという石鹸は、100年以上も「お肌にやさしいピュアな石鹸」という事で世界中の家庭で愛用されてきました。これは、P&Gがブランディングを行う上で、長い年月をかけてイメージを構築しているものです。
しかし、このようなブランディングに対してアンチテーゼを投げかける動きが見られます。つまり、アイボリー石鹸のように、明るいだけのイメージでは単純すぎて、かえって消費者に飽きられてしまうのではないか?というのです。これは、長年消費者から愛用されていた商品が急激に消えて行くという調査結果による裏づけからのアンチテーゼでした。
最近の消費者の像として、広告が伝えるイメージに対して、わざとらしい、薄っぺらだ、などと感じるグループがいるのです。しかし、これに対して、ブランドマネージャーは従来のブランディングを行っている事をHBRでは指摘しています。
タイトルのシャドー・ブランディングとは、このような消費者に対して、自社の製品をリポジショニングして弱みを強みに転じる戦略です。
ロンドン市警の警察官募集の広告がとても良い例です。従来の警察官募集の広告では、必ずといって良いほど、輝かしいキャリアが待っている、優れた技能が身につく、子供たちの憧れ、といった要素を盛り込んだものでした。
しかし、2000年に行われた、シャドー・ブランディングによるメッセージは、「警察官の仕事がいかに困難なものか」というものでした。広告やCMの中では、警察のつらい仕事のシーンが頻繁に繰り返されました。
結果、その広告に対して応募者は急増したのです。イギリスの内務省の発表によると、シャドーブランディングの効果は、前年比で50%増の反応があったとのこと。この広告は、警察の仕事に対して、尊敬の意を示す人が増えたという副作用まであったそうです。
シャドー・ブランディングにおけるポイントは、現在の商品の影の部分をもう一度見直すことです。そして、必要であればその部分を受け止め、適切なターゲットに訴えかけることが出来ないかを考えることです。
参照:Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー) 2007年 02月号 [雑誌]
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