フィリピンではアウトソージング事業が好調です。BPOに加えてITO(ITのアウトソージング)においてもマニラ3位、セブ8位という順位になっています。インド英語よりも聞き取りやすいという理由もあり、英語圏企業からすると組みやすいのでしょう。これは、日本にもフィリピン英語プログラムが急に増えている様子からも推察できますね。現在でも70を超える英語プログラムが日本でも展開されています。
参考:講師がフィリピン人のスクール
http://eigokoryaku.com/school/school_50_philipteacher.html
ある企業では、世界をタイムゾーンに分けて、時差を利用した24時間業務を取り入れています。具体的には、アジア地域のインドをGMT+5とするとアメリカ地域はGMT+5から8となり時差が生じます。そこでこの時間的なギャップを埋める目的で東アジアに注目しています。時差を考慮して展開する発想は、フラット化する世界の中でも紹介されていました。
フィリピンの経済成長と共に賃金が上がれば、今の賃金格差のみを利用したアウトソージングは難しくなるでしょう。ここはインドの付加価値の付け方を参考にする必要があると思います。例えば、アウトソージングの発注側が日本の場合、日本語を求める傾向が強くなります。そのためインドや中国では日本語を話すことが雇用に繋がるということで、多くの方が日本語の修得に力をいれています。実際に中国で日本語が堪能なアウトソーズ先は沢山あります。中国では日本語をジョブセキュリティ(知らないと仕事にならない)の1つとして捉えているのでしょう。言葉の傾向を考えると、フィリピンでITOが増えているのは、ITのアウトソージングは言語に囚われにくいという側面があるという理由があるのでしょう。
フィリピンを含め東南アジアに対して、下請けイメージを持っている人が多いと思います。ただ下請け=垂直統合的な考え方に限定すると危険です。インドなりフィリピンなりのアウトソーシング先は、業務範囲の多様化や提供内容の高付加価値化をものすごい勢いで進めているからです。実際、インドの今後の方向性は量から質への転換がキーワードです。
アウトソージングを必要とする日経企業の規模が国内のビジネスで稼げていた時代。ある意味下請けという狭い発想にとどまっていた事は仕方のないことかもしれません。しかし、グローバルというキーワードが出てきた昨今、日本語だけの仕事は全てを限定することになります。翻訳機や翻訳サービスの出現もまだ数年かかるとおもいます。その間はまだまだ共通語となる英語での仕事がどんどん増えて行くでしょう。
アウトソージングによる規模の経済、業務の効率化、コストメリットを追求すると国境の考え方が無くなります。すると、インドやフィリピンなどの選択肢が出てきます。このような国は初めは簡単な作業的な仕事しか出来ませんでしたが、徐々に業務範囲を広げていき、提供するサービスの付加価値を高めていきました。これは自分達も他のアウトソーズ企業と競争をする必要があるからです。結果、中国やインドやフィリピンなど以前からアウトソージングを行なってきた企業には、専門的な知識や能力を持つ人材が育ちます。そのような人材を活用して、徐々に業務フロー全体の見直し、提案、改善などを請け負う企業も増えていきます。
この企業の人達は、昔は下請けをする人、だったかもしれませんが、今では日本語や英語や他の言語を話しながら、多くのクライアントに対して仕事の標準化や上流工程の見直しを含めたアウトソージングを提案する人になっています。1つの言語にとどまって仕事をすることは、仕事の範囲をどんどん狭くすることになるのかも知れません。
クライアントの社員にシンガポール籍の方が数名います。彼ら曰く、最低2か国語、普通でも3ヶ国語、多い人は5ヶ国語を話すといいます。それでも人件費は月に2000ドル程度。言葉を複数話すことは基本で、その上に専門的な仕事を行う能力がある。こう考えると日本人の人件費はやはり世界標準から見ると高すぎますね。
日本は未だに日本語の障壁で守られている部分があります。従って他国の参入による競争が少なくなります。競争が起こりにくくなれば、グローバルでの自分達の能力を伸ばす可能性がすくなるなることも意味します。日本語の壁は、諸刃の刃ということですよね。
既にグローバル化が始まって、位置についてよーいどん!と世界中の競争が始まっています。
参照:
IT関連アウトソーシング、フィリピンがインドのライバルに
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20130128-00000000-indonews-nb
【フィリピン】BPO拠点ランク、マニラが世界3位に上昇
http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20130201-00000008-nna_kyodo-nb
2012年の最低賃金改定、マニラ首都圏は7.04%上昇?生産性賃金制度を導入へ? (フィリピン)
http://www.jetro.go.jp/world/asia/ph/biznews/50ef7c31e34b8
各国の日本語学習者数
http://kyoan.u-biq.org/enq_gakushuusha.html
英語+αのスキルの欠如、高すぎる人件費…日本の活路は、
答えはでているのだからあとは国がどれだけこの問題に本気で取り組むか、
いや、国はあてにせず、自分達で自ら変革、進歩していくか。私も含めて
自分の力でなんとかする。その上で国の動きも見ておく。というスタンスが好きです。