財政危機に陥っているイタリア。ギリシャの財政危機と関連してイタリアにも不安の目が向けられ、日本でも良く聞く話です。
ユーロ圏では3位の経済規模を誇る一方でギリシャの5倍上の200兆円を超える借金。この理由は、イタリア北部が南部を支えている経済構造。過剰な社会保障政策。ユーロ圏入りの際に為替レートを不利にのんだこと。そして脱税が考えられます。
■イタリア北部が南部を支えている経済構造
イタリアの経済は北部と南部で異なります。北部(ミラノ、ベローナ、ベネチア、トリノ、リビエラ等)は勤勉で製造業が盛ん。一方、南部(ナポリ、ポンペイ、シチリア等などの島々)はマイペースで失業率が高くマフィアの影響が強いため不正が横行しています。幾つかの書籍や記事によれば、マフィアの闇金融は年間に1400億ユーロ、利益は1000億ユーロと、イタリアの国内総生産の7%に相当します。これも数万人が職を失う要因に。
■過剰な社会保障政策
イタリアが国家として成立したとき、イタリア国民はドイツやフランスのように高い社会保障制度を政府に求めました。1970年代、イタリアの政治は少数政党が乱立して不安定な連立政権が誕生します。党としては支持者を得て喜ばせるために、競うように社会保障の充実を実現させていきます。ベルルスコーニ首相も同様にバラマキ政策に力を入れ国の体力と釣り合わない政策を取ってきました。今、そのツケが回ってきている状況なのです。
■ユーロ圏入りの際に為替レートを不利にのんだこと
ユーロ前はリラ、イタリアも独自通貨を持っていました。イタリアは輸出で儲けることを考えリラ安政策を長らく取っていました。しかしユーロ圏に入るときに大きな失敗をします。多額の借金を抱えていたイタリアは交渉力が弱く、リラ高の状態でユーロの仲間になったのです。その結果、それまでのリラ安政策が通用しなくなり、製造業は工業大国であるドイツに大きく負けて大打撃を受けることになります。財政が更に悪化していきました。
■脱税
これも幾つかの書籍や記事では良く書かれていることです。イタリアの脱税額は国内総生産の18%。これはEU内でギリシャに次ぐ規模で金額にして29兆円。イタリア人は2つ仕事をしていて、国に報告している仕事は片方だけと良く言われます。もう一方の仕事は税金を払っていないのです。国も脱税することを前提に税率を高く設定しています。すると国民は税金が高いから納税しない。国は税収が足りないから増税する。まさに、いたちごっこの状態です。
この状況を考えると、イタリアはまだまだ問題ない!と考えることが出来ますよね。日本に置き換えてみると税収は増税をしなくても、適正な税制度を適用出来れば税収入がアップするからです。脱税は悪いことですが、まだまだ国としては原資が十分にあることを意味します。これはマフィアによる闇金融もしかりです。
国民は、一方では、過剰な社会保障を国家に求め(国家に甘え)、一方では、国家を信じず、納税しない。これじゃ、財政破綻は当然ですよね。
日本に置き換えるとどうでしょうか。「国家に甘え」の部分は当てはまる気がします。国家も大盤振る舞いしてきましたよね。
「国家を信じず」の部分はどうか。サラリーマンだと脱税はできないし、サラリーマンで副業している人は、イタリアほど多くはなさそうです。「信じてはいないが、脱税できず」というところでしょうか。
3・11以前からそうですが、なぜ、これほどまでに国家不信が高まるのでしょうか? 政治とカネ、官製談合など問題があるからですね。ほんと、悲しくて悔しいなぁ。
黙して語らず。これが一番いけないのかも?我々がもっと発言し、メッセージを伝えないといけない。政治家マターの話だけでは無くなりつつありますね。