視点。
モノゴトを考える時にとても大切な概念です。認知科学の分野では、モノゴトや概念をどこから見ているのか?と対象を見る時の立脚点をさします。小学校の図画工作の時間に立方体をいろんな角度から描写する授業がありました。見方によって、六角形や正方形に見えます。同じカタチであっても視点の在り方でそのものが異なって見えるのです。ってことは視点を変えることによって同じ概念やモノゴトが別の見え方で見えるということです。アイデアを出すとき、様々視点から捉えて創案すると良いでしょう。
視点。
上記のように書いても実際は取っ付きにくい概念です。そこで、次のような実験をしてみます。鉛筆を握って実際に手を動かしてみて下さい!
1)普段腕時計をはめて時間を確認するヒトは、その時計の絵を見ないで書いて下さい。
2)普段腕と計をはめていないヒトは、ケータイかスマフォの絵を見ないで書いて下さい。
どちらの場合も、特徴を良く捉えて90秒程度で描写して下さい。
・・・・・・・・・・90sec!
実際に書いたら、自分が書いた絵と実物を比較します。きっと、思っていた時計と実物は異なっていると思います。例えば、文字盤に数字があると思っていたら無かったり、時計のデザインが反対だったり、様々です。更に、次の質問に答えて下さい。
「時計(或は、スマフォやケータイ)の特徴を見たとき、何時だったか?」
きっと正確な時間も何時だったかも覚えていないと思います。例えばこれが視点です。普段、時計は時間を計る道具として認識しています。従って、時計を見ていてもじっくり特徴を見ることはありません。絵に表した時計は、実際の時計では無く、頭の中で作り出している時計のイメージです。しかし、ヒトはそのイメージが本物の時計だと思い込んでいるのです。同じものを実際に見ていても、ヒトの頭の中の画像処理によって異なる認知が得られるのはこれが理由でしょう。
実験では、時計の特徴に視点を持って行きました。すると特徴に目が行き、針のカタチは認識しますが、それが時間を表していることをすっかり忘れます。というか意識しません、不思議ですね。これも視点の変化がもたらした結果です。
誰かが絵を描いているときに、一言「時間」と言ったり、過去に同じゲームを行ったヒトはきっと時間も確認していることでしょう。そう、視点って、どのような見方をするのか?を意識することによってある程度、広げることができるのです。というか出来るのでは無いかと思います。
視点。それは意図的に様々な見方を意識して観察することによって広がるのです。
小宮一慶さんの本に、セブン-イレブンのロゴの話がありました。ロゴを描いてください、というのです。たいていの人は、7ELEVEN、と多く。けど、実際は、7ELEVn、なんですね。最後のNは小文字。ふだん街で何度も見かけているはずのロゴでも、意識していないと、見ていないのと同じ、というわけです。
時計の話も面白いですね。最初は形。じっくり見たはずなのに、次は時刻を覚えてない。二段構えなのがいいですね。
この手の話は、講演をする前や会議をする前、コンサルの休憩などに良くお話します。なるほど!と気づいて頂け、かつ事例を説明するメタファーとしてもとても分かり易いからです。セブンのnの話、今日、ちょうど妻と話をしていました。タイムリーです。