産科医減少

2006年10月26日 木曜日

早嶋です。

06年度の出生率は、団塊Jrの出産等で6年ぶりに反転する見込みが高くなっています。政府が行う少子化対策によって、出産育児金が増額され、支払い方式が変更するなど、出産時の持ち出し金が殆ど必要なくなります。

さらに、来年度の予算では、少子化対策関連の予算が10%程度増加する予定です。これで出産が行いやすくなるのか?と言うと、思わぬ落とし穴があります。

日本の産科医が減少しているのです。朝日新聞の調べによると、03年4月から05年7月の2年間で常勤する産科医は8%減少しています。

産科医が減少する理由は大きく2つあります。1)過酷な労働条件、2)訴訟リスク
です。

1)産科医の労働条件は医師の中でも特に悪いようです。特に地方の病院では常勤の産科医が病院に1人しかいないため、365日24時間、事実上病院に拘束される医師もいるそうです。

2)日本は世界一の医療技術を誇っています。しかし、このことが産科医の訴訟リスクを大きくしています。つまり、医療技術の向上によって、出産時の死亡率が低くなったため、「出産は危険じゃない」という意識が広がったのです。このため、ミスとはいえないような事例まで医師の責任が問われているということです。H15年の最高裁の調査データによれば、産科医は医師平均の2.5倍も訴えられていることがわかります。

上記の背景から、現在では産科医を目指す学生が減っており、産科医の減少に歯止めをかけることができなくなっています。

今後、産科医の減少に対して根本的な手を講じなければ、少子化対策以前に深刻な問題になります。

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