最近、地方での仕事が多く、タクシーを利用する機会が多くありました。タクシーについては以前も何度かコメントしていますが、今回はマーケティング・ミックスを考えて見ました。
●プロダクト
タクシーは、流しの場合でも、お客さんが選べる機会が少ないです。従って、車両を良くすることだけが全てではありません。運転手さんがいかにサービス業として認知して、ホスピタリティーを発揮できるかがポイントです。私は、地域によって絶対利用しないと決めているタクシー会社があります。乗るたびに不機嫌な思いを幾度となく体験したからです。
もちろん、タクシーの機能である目的地までお客さんを早く安全に運ぶことも忘れてはいけません。質の高いサービスを提供すると同時に地理に明るくなる、これが最大の商品です。
●価格
タクシーの価格はメーターに表示されます。走った距離と時間によって一定のルールで課金する仕掛けです。しかし、実際は良いサービスを提供する運転手さんにはメーター課金意外にチップを受領する機会があります。運転手さんと話しているとき、「昼飯代とタバコ代はチップで稼ぐ」と話していた方もいるほどです。
●プレイス
タクシーで重要なのはお客さんがいる場所。いかに効率的にお客さんを乗せ続けるかが、売上に直結します。ほとんどのタクシー会社は、空車のタクシーに対しては指示を出し、効率的に売上を上げる仕組みを構築しています。タクシーの運転手さんは、天候や時間帯、曜日によって指示を受けたり、独自の仮説を検証しながらお客さんのいそうなルートを効率よく巡回します。
●プロモーション
一度、顧客に気に入られると、お客さんから携帯電話で連絡をして呼び出しをする場合もあります。これは、サービス精神に加えて、少しだけ運転手さんが自分からお客さんにおこなう宣伝からはじまることもあるでしょう。タクシーなのにハイヤーのように利用する。双方にとってWIN-WINです。
たった一言の声かけですが、するとしないでは大違いです。地方で仕事をする場合、どこでタクシーを呼べばいいのか分かりません。上手い運転手さんは、お客さんを降ろす際に、「何時頃終わりますか?その頃に迎えに来ましょうか?」と一言。地方の駅から離れた不便な場所にある研修センターの場合、殆どの場合二つ返事で「是非、お願いします!」でしょう。
それから意外に嬉しいのは、目的地近くで込んでいる時、例えば信号待ちなどでバックミラー越しにアイコンタクトで確認して、「この先、込んでいるのでココで降りますか?それとも目的地まで行きますか?」と一言いただくこと。これも大切なサービス精神だとおもいます。
都内のタクシーの一日の平均的な売上は4万円です。地方では2万5千円程度の場合もあります。でも、運転手さんがしっかりとマーケティングを行えば、食事や休憩をとって自分のリズムで仕事をしても平均以上の売り上げを確保できると思います。
早嶋聡史