経済学とは金銭に関する学問ではなく行動に関する学問です。一日中誰もが常に自分の行動のコストと利益を計算して、どのように行動するかを決めています。人は自分にとっての最善の行動をとるため経済学者は発言よりも人の行動を研究します。
法律の立場にも似たような考えがあります。人は自己の利益を計算する事にきわめて長けているからこそ、法や規則は、公正な成果に寄与するよりも、それを妨げる場合が多いという考えです。
しかし、この考え方は大きく変わりました。2002年にノーベル財団がノーベル経済学賞を経済学者ではない人物に授けました。人は必ずしも自己の経済的な利益を合理的に計算するわけではないし、当事者は富を最大化する事を目的に取引もしない場合も多い、という事実を明らかにした功績に対してです。ブログでも何度かつづりましたが、行動経済学のダニエル・カーネマン氏に対してです。
経済学と聞くと多くの人が金銭に関してを意識しますが、実際は人間に着目した学問なのでしょう。計算機のような頭脳を持つ合理的な人間は実際にはいないのです。
現実の世界では人間は本に書かれたように行動するのではなく、はるかに複雑な行動をとります。例えば、老後に備えて十分な蓄えをしたほうがよいことは誰もが知っている事ですが、そうはしません。
例えば、儲からない宝くじに必要以上に執着します。株も同じです。
例えば、同じ金額だとしたら、それを稼いだ時の感情よりも、失うときの痛みのほうがはるかに強くなります。
人は不合理なのです。
早嶋聡史