mROIって?

2010年5月3日 月曜日

mROI。マーケティングROI(return on investment)、マーケティングにおける対投資効果です。広告や販促活動など、マーケティング活動にかけた費用がどの程度効果を生んでいるのか?を考える概念です。

通常のビジネス活動では、何かに投資をしたら、それに対してどの程度の価値を生み出したのか?というリターンを要求します。ところがマーケティング活動においては、その要求が無いのです。

これはこれまでの背景から、具体的な評価をはかる事が出来ないと思っていたからです。言葉自体は10年くらい前から良く言われるモノの、実際にどうやってはかるのか?と言う事に突っ込んで考える事をしなかったのです。

そのため、100のお金を投資して、120の効果を生む事が出来た。だから、今後は140の効果を生みたいので、100よりも大きな投資が必要だ!とか、100のお金を投資したが、80のリターンしかなかった。従って、今回行ったプロジェクトの問題点は何だったのか?突き詰めて考える必要がある!などと言った議論をせずにマーケティングの予算が決められます。

去年の予算がいくらだったから、今年も同程度の予算を配分しよう!という感じです。または、他社のマーケティング費がいくらだから、うちもこのくらいの予算を割いておく必要がある。と言った感じです。

確かに、はかるのは難しいです。物が売れるという事は、いろんな因果関係があり、1つの施策が直接的に関与するとは考えにくいからです。ある商品が売れたとします。その購買は広告の要素がどの程度で、製品そのものの良さは無かったのか?テレビや雑誌、他の口コミの影響はどうなのか?など、考えれば考えるほど複雑になります。

実際に、正確に全ての要因を指標化して関数のように組み込む事はしなんの技でしょう。1回のマーケティング効果を計測すれば、顧客の生涯価値は無視した事になりますし。

そこでmROIの用途を計測から改善目的の指標と捉える事で比較的効果を出す使い方ができると思います。従来行ってきたマーケティングをまず、プラスに働いていると仮定します。そして、その中でも最も効率の良いものに順次投資するお金の割合を変えていき、最も良い組み合わせと投資のポートフォリオを作るように、マーケティングの組み合わせを考えていくのです。

このような考えであれば緻密な指標よりも、いくつかのおおざっぱな指標を準備して、思考錯誤で実際の活動の評価を見ていきながら、マーケティングをコントロールする事ができます。

大切な事はmROIの概念は立派だ!だけど計れないから使わない!ではなく、その概念を利用して、実際のマーケティングをもっと効果効率的にするために使う事です。

例えば、小さな歯医者さんレベルでもmROIの計測と改善を行っています。歯医者さんレベルでも広告や宣伝は行っています。例えば、新規の患者さんが、広告や宣伝など、いわゆるマーケティング活動を通じて来院されたのか?それとも既存の患者さんからの口コミで来院されたのか?を調べます。

初診の時にカルテに、「どうして来院されたのですか?」1)他の患者さんからの口コミ、2)Webを見て、3)広告○○を見て、4)通りの看板を見て、5)その他、などと聴くだけでも、1)以外は全てマーケティング活動のおかげと仮説を立てて見る事ができます。

すると、地元のフリーペーパーに広告を載せた時に、実際にその広告を見て来院する患者が如何に少ないか?或いは、皆無に等しいかがわかります。勿論、短期的な判断は難しいですが、僅かな枠に毎月5万円~10万円を払い続ける意味を考える理由にはなるでしょう。

mROI、まずは仮説で良いので設定してみて、何かマーケティング活動を行った結果、その指標がどのように変化したかを観察するだけで何かが見えてきます。そして、その中から、もっとこんな指標を取ってみよう!とか、この指標は取る必要がない!などと思考錯誤してmROIの評価と計測方法を考えるとよいのです。マーケティング活動は時間がかかりますが、適切に行えば、かけた時間と工数は必ず、将来の購買につながるものです。

早嶋聡史



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