長田です。
先月、BBCの“クワイヤー・ボーイズ”というドキュメンタリー番組を見ました、4回シリーズでなかなか見応えのあるストーリーでした。その中で印象に残った場面がありましたので紹介します、部下指導においても意味のある示唆だと思います。
舞台はイギリス中部の工業都市ランカスターにある公立学校、一人の音楽教師が、合唱を通して荒れた学校を変えていくというありきたりのストーリーです。全く初めて歌う子供たちを指導して、目標はロイヤル・アルバートホールで歌うことでした。
ホールで歌う曲目はヘンデルでしたが、みんなが興味を持って歌うことに慣れるようにポップスから始めました。そして一人一人の個性を見ては個別にテーマを与え成長に合わせて少しずつ指導の方法を変えていくというもので、まさにコーチングのお手本でした。
出場にを決定する審査員の評価の仕方もなるほどと思いました。もちろん技術的に優れていることも求められるのですが、何より評価するのは“前回より成長したか”ということ、その時点での技術より“成長したこと”を認めて更なる成長を期待するという姿勢です。
中に一人、素晴らしい才能の持ち主がいて独唱を任せようとするのですが、この子だけは歌おうとしません、最後まで歌うことはありませんでした。カウンセリングで分かったことは、この子がかつて父親に“上手くないな”と言われたことが原因だということでした。
父親の一言が、この子の自信を奪ってしまったのです。歌いたい気持ちはあるのですが、ひょっとしたら“恥をかくのではないか、馬鹿にされるのではないか、下手だと思われるのではないか”という不安が先に立って歌うことができなくなっていたのです。
部下の指導に置き換えてみてください、できたことや成長したことを認めてもらえば自信をつけて、さらに努力して伸びていきます。反対にできないことばかりを指摘されると自信をなくし、新ことに挑戦する意欲をなくして成長が止まってしまいます。
“組織は人だ”という言葉をよく耳にします、製品や技術での差別化が難しくなればなるほどこの言葉は意味を持つと思います。人が育つか否かは組織の風土、ひいては上司の指導に対するAttitude (態度や姿勢)で決まるものです、みなさんの組織はいかがですか?